デジタル時代の購買プロセス(アーチモデル)

約9ヶ月ぶりの投稿となりましたが、

先日2018年11月号のHBR(ハーバード・ビジネス・レビュー)誌に、

一橋大学大学院准教授の藤川佳則氏の

 

AIスピーカーでマーケティングの民主化が進む

顧客が顧客戦略を

動かす時代

 

と言う面白い記事があり、

新しい発見をしましたので

皆さんと情報をシェアしたいと思います。

このブログではその内容のある一部に関して

私の解釈を述べています。


さて、ここから本題に入ります。

去年、こんなブログを書いています。

(URL埋め込んでますので興味のある方はクリックして下さい。新しいタブで開きます。)

 

Web時代の新しい消費者行動モデル(AISCEAS)

 

今日の話は、上記の延長線上の話です。

古典的なAIDMAモデル、

デジタル時代のAISASモデル、

Web時代のAISCEASモデルと、

時代は流れていますが

これらのモデルに共通して

『欠けている』事があると

思いませんか?

 

欠けている事...

 

なんでしょう?...

 

AIDMA、AISAS、AISCEASの

3つのモデルは、

お客様が『モノ』や『サービス』を

買うまでのプロセスを

モデル化しているだけ、と私は思います。

買った後のShareと言うアクションが、

買った後のプロセスであると

お考えの方もいることでしょう。

 

しかし...

 

私はこの3つのモデルは否定しません。

お客様が『モノ』や『サービス』を

買ってくれるまでのプロセスを、

時代の流れと共に

見事に表していると思います。

 

でも残念ながら、これらのモデルは

お客様が買ってくれるまで、です。

買って頂いた後のプロセスは

考えなくても良いのでしょうか?

  

大昔の物売り全盛期の時代はとにかく

『モノ』を売って売上が上がれば、

買ってくれた人は別にどうでもよく、

売っておしまいで良かったのかもしれません。

今の時代はどうでしょうか?

 

今の時代は、

売ってからがビジネスの始まりである、

と言われています。

 

『顧客生涯価値』と言う言葉があります。

一度お客様になった方に、

次の商品を買って頂き、

そしてリピートカスタマーになって頂く。

それを繰り返して収益を上げる

という考え方です。

アポなし飛び込み営業の対極的な考えです。

 

今までの3つのモデルには、

Actionを起こして買って頂いたお客様を、

その後どうやってケアしていくのか、

と言う視点が欠けていると思います。

 

これらのモデルは、

お客様が買った後情報をShareしても、

売り手の視点からすれば、

後はその情報を見てくれた

見込みのお客様が買ってくれることを

祈るだけです。

 

そこで、

今回発見した面白い考え方が

藤川准教授が提唱している、

購買までのプロセスと

購買後のプロセスを結びつけた

『アーチモデル』です。


(出典:HBR 2018年11月号)


この図はHBR誌に載っていた図を、

私がPPTで作り直したものです。

コンバージョンを堺に、

左側が購買までのプロセス、

右側が購買後のプロセスです。

コンバージョンについて補足しますが、

これは

『商品を買った』

『会員登録をした』

『メルマガにメールアドレスを登録した』

と言う結果を表す言葉です。

 

この図では購買までのプロセスが

AIDMAになっていますが、

AISASでもAISCEASでも

考えは一緒だと思います。

このモデルの面白いところは、

各プロセスがShareでつながっているところです。

藤川准教授は以下のように述べています。

 

AISASモデルでは、

購買プロセスの最終段階に

シェアがあるとされているのに対し、

(アーチモデルは)← 私が補足

シェアはカスタマージャーニーの

全てのフェーズで発生すると、

積極的にとらえるモデルである。

 

確かにSNSへの情報発信が

日常的になっている現在では、

だれでも何かのタイミングで

今自分が思っていることを

発信していますので、

それが情報のShareに

つながっているのだろうと思います。

 

話の焦点を購買後のプロセスに戻します。

このアーチモデルを見ると

購買後のお客様の成長段階が伺えます。

先ほど『売ってからがビジネスの始まりである』と述べましたが、

まさにこのモデルはそれを物語っています。

つまり、

自社のお客様全員が

初回購入者ばかりだとしたら

アーチは対岸に届かず崩れ去ってしまい、

ビジネスも志半ばで崩れ去ってしまいます。

 

売り手はマーケティングや

営業活動を通じて、

初回購入者を究極的には伝道者に

(私の解釈では営業しなくても買ってくれるお客様に)

育て上げなければ顧客生涯価値は上がらず、

安定したビジネスの継続は難しいでしょう。

  

では、どうやってお客様を育てるのか...

 

とても大きな命題です。

マーケティング業界では

『マーケティング・オートメーションの

ツールがそれを解決してくれる!』と、

夢のようなことを語っていますが、

そんな単純な話ではありません。

 

今日は長くなりましたので、

このへんで終わりにしますが...

この話の続きは、

これまた古典的なロジャースの

イノベーター理論をネタとして

後日アップしたいと思います。

 

最後までお読み頂き、

ありがとうございました。