本:21世紀の共感文章術

筆者の坪田知巳氏から献本された「21世紀の共感文章術」(アマゾンリンク先はこちら)

 

 筆者の作品は「21世紀の共感文章術」で3作品目ですが、この作品も読みだしてから脇見もせず一気に読了しました。

毎回一気に読了してしまうのは、筆者の文章能力の高さだと思っていましたが、読者を一気に文章にひきつける意外とも思われる「秘策」がこの本には書いてあります。

 

 筆者は人間の注意力には「3秒、30秒、3分」の法則があり、初めの3秒で「要・不要」を判断し、「あれっ」と思うと次の30秒を使いリード文と第1段落を読むと説いています。この法則を共感文章術に応用した「秘策」が、『1)タイトルでひきつけ、2)最初の段落で興味を持たせ、3)一気に1,500字ほど読んでもらう――これを「戦略」にすべきです。』と述べています。私は筆者の「戦略」にうまく乗せられて一気に読了したのだと思います。

 

 また、共感文章術は「三角形文章法」であるとも述べています。これは、客観的に事実を捉えながら、自分のセンスで事実を解釈し、特定の読者を意識して情報を伝える、というものです。自分が対象物を見て、自分が感じ取ったことを、自分の表現で、相手(読者)に伝えることであり、共感してもらう文章には手本は無く、著名な作家の文体をマネしてみても、相手(読者)には感情は伝わりません。

さらに、いい文章の3条件として、1)何を言いたいのかが明快・簡潔、2)リズム感があって読みやすい、3)筆者の気持ちが伝わる、と述べており、どれも納得の行く文章術です。

 

 しかし、本書はこのようなテクニックの使い方に終始しているのではなく、筆者が主宰している「共感される文章講座」に参加されている生徒さん達が書いた文章のBefore(生徒さん達のオリジナル文章)/After(筆者による添削)により、文章のどこをどのように修正すると、読者に対する印象がどのように変わるか、と言う事例を豊富に掲載しておりとても実用的です。

 

 本書は業種を問わず、対外的な文章を書く方、ホームページの文章を書く方、SNSに頻繁に投稿する方等、文章を書く方には必読の書です。文章の「カキクケコ」等、ユニークなネーミングも内容がよく理解できるようにするための筆者の「戦略」であると思います。

これからのSNS時代に活きる文章術はまさにこれだ、と思います。